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沼正三に関連する書籍のリストを作ってみました。

「家畜人ヤプー」「沼正三」「天野哲夫」「倉田卓次」の4つの項目に分けました。

「沼正三」「天野哲夫」の項目については、本の名義にかかわらず、実際に誰が書いたのかを基準にしました。

リスト作成にあたっては、現物のほか、天野哲夫『犬になった老人の死』(パラダイム)掲載のリスト、紀伊国屋書店・ジュンク堂書店・八重洲ブックセンター・日本の古本屋の各サイト、ブログ「しろくろ骸骨」を参考にしました。

発行年月については、現物が手元にあるものは現物で確認していますが、未入手のものは上記諸資料を参考にしているため、実際とはずれが生じている可能性があります。ミスにお気づきの際はご一報いただけると助かります。

■家畜人ヤプー■

『家畜人ヤプー』(都市出版社、1970年2月)
『家畜人ヤプー 改訂増補限定版』(都市出版社、1970年) ※限定2000部
『家畜人ヤプー 改訂増補決定版』(都市出版社、1972年3月) 
『家畜人ヤプー』(角川文庫、1972年11月)
『家畜人ヤプー』(出帆社、1976年6月) 
『愛蔵版 家畜人ヤプー』(角川書店、1984年5月) ※限定500部
『家畜人ヤプー 改訂増補復刻版』(スコラ、1991年10月)
『家畜人ヤプー 完結篇』(ミリオン出版、1991年12月)
『家畜人ヤプー(上)』(太田出版、1993年1月)
『家畜人ヤプー(中)』(太田出版、1993年2月)
『家畜人ヤプー(下)』(太田出版、1993年3月)
『家畜人ヤプー(第一巻)』(幻冬舎アウトロー文庫、1999年8月)
『家畜人ヤプー(第二巻)』(幻冬舎アウトロー文庫、1999年8月)
『家畜人ヤプー(第三巻)』(幻冬舎アウトロー文庫、1999年8月)
『家畜人ヤプー(第四巻)』(幻冬舎アウトロー文庫、1999年8月)
『家畜人ヤプー(第五巻)』(幻冬舎アウトロー文庫、1999年8月)

《劇画版》
『劇画 家畜人ヤプー』石森章太郎(都市出版社、1971年12月)
『劇画 家畜人ヤプー』石森章太郎(辰巳出版、1983年1月) 
『劇画 家畜人ヤプー 宇宙帝国への招待編』石森章太郎(辰巳出版、1983年6月) 
『劇画 続・家畜人ヤプー 悪夢の日本史編』石森章太郎監修・シュガー佐藤画(辰巳出版、1984年1月) 
『劇画 家畜人ヤプー 宇宙帝国への招待編』石ノ森章太郎(辰巳出版、1990年7月)
『劇画 続・家畜人ヤプー 悪夢の日本史編』石ノ森章太郎監修・シュガー佐藤画(辰巳出版、1990年7月)
『劇画 家畜人ヤプー 快楽の超SM文明編』石ノ森章太郎監修・シュガー佐藤画(辰巳出版、1993年5月)
『劇画 家畜人ヤプー 無条件降伏編』石ノ森章太郎監修・シュガー佐藤画(辰巳出版、1994年1月) 
『家畜人ヤプー1』江川達也(幻冬舎、2003年5月)
『家畜人ヤプー2』江川達也(幻冬舎、2003年9月)
『家畜人ヤプー3』江川達也(幻冬舎、2004年3月)
『家畜人ヤプー4』江川達也(幻冬舎、2004年9月)
『家畜人ヤプー5』江川達也(幻冬舎、2005年2月)
『家畜人ヤプー6』江川達也(幻冬舎、2005年9月)
『家畜人ヤプー7』江川達也(幻冬舎、2006年2月)
『家畜人ヤプー8』江川達也(幻冬舎、2006年12月)
『家畜人ヤプー9』江川達也(幻冬舎、2007年1月)

※石ノ森らによる『ヤプー』については、昨日のエントリー「『劇画 家畜人ヤプー』書誌」も参照してください。


■沼正三の著作■

『ある夢想家の手帖から1』(都市出版社、1970年12月)
『ある夢想家の手帖から2』(都市出版社、1971年3月) 
『ある夢想家の手帖から3』(都市出版社、1971年7月) 
『ある夢想家の手帖から1』(ニトリア書房、1974年) 
『ある夢想家の手帖から1 金髪のドミナ』(潮出版社、1975年12月)
『ある夢想家の手帖から2 家畜への変身』(潮出版社、1976年3月)
『ある夢想家の手帖から3 おまる幻想』(潮出版社、1976年5月)
『ある夢想家の手帖から4 奴隷の歓喜』(潮出版社、1976年2月)
『ある夢想家の手帖から5 女性上位願望』(潮出版社、1976年6月)
『ある夢想家の手帖から6 黒女皇』(潮出版社、1976年9月)
『集成 ある夢想家の手帖から(上)』(太田出版、1998年5月)
『集成 ある夢想家の手帖から(下)』(太田出版、1998年5月)

※都市出版社版の『手帖』は、第1・2巻セットのもの、第1〜3巻セットのものも売られていたことを確認しています。


■天野哲夫の著作■

『人斬り彦斎』(久保書店、1966年) 
『異嗜食的作家論』(芳賀書店、1973年4月) 
『禁じられた女性崇拝』(芳賀書店、1973年) 
『女帝ジャクリーンの降臨』(立風書房、1974年) 
『新・創世記』(角川書店、1980年5月) ※「沼聖子」名義
『女神のストッキング』(工作舎、1981年2月→新装版1992年6月)
『女神の棲む闇』(出帆新社、1981年9月) 
『禁じられた青春』(創樹社、1987年6月)
『禁じられた青春(上下)』(葦書房、1991年) 
『狂気にあらず!?』(第三書館、1995年、C・ウィルソン&佐川一政との共著) 
『女怪幻譚「〓髏(クウロウ)」』(二見書房、1995年11月) ※〓は骨偏に古
『勝手口から覗いた文壇人』(第三書館、1997年10月) 
『ある異端者の随想録1 女主人の鞍』(第三書館、1998年4月)
『ある異端者の随想録2 三者関係の罠』(第三書館、1998年4月)
『わが汚辱の世界』(毎日新聞社、1999年10月)
『犬になった老人の死』(パラダイム、2001年2月)
『マゾヒストMの遺言』(筑摩書房、2003年7月) ※「沼正三」名義
『禁じられた青春(上中下)』(幻冬舎アウトロー文庫、2008年3月) ※「沼正三」名義

※『禁じられた青春』は3種類出ています。創樹社の一巻ものと、葦書房の上下巻ものとで、内容に違いがあるのかどうかは不明です(私は創樹社版しか持っていないので)。また、創樹社版・葦書房版では「天野哲夫」名義でしたが、幻冬舎アウトロー文庫版では「沼正三」名義に変更されています。


■倉田卓次の著作■

《裁判官の書斎シリーズ》
『裁判官の書斎』(勁草書房、1985年8月)
『続 裁判官の書斎』(勁草書房、1990年9月)
『続々 裁判官の書斎』(勁草書房、1992年1月)
『続々々 裁判官の書斎』(勁草書房、1995年7月)
『元裁判官の書斎』(判例タイムズ社、2007年7月)

《裁判官の戦後史シリーズ》
『裁判官の戦後史』(筑摩書房、1987年8月→新装版:悠々社、1993年12月)
『続 裁判官の戦後史』(悠々社、1993年12月)
『続々 裁判官の戦後史』(悠々社、2006年7月)

※法律書は省略しました。拙ブログ「倉田卓次の著書リスト」も参照してください。
都市出版社版の『劇画 家畜人ヤプー』(1971年)

劇画版の『家畜人ヤプー』は、石ノ森(石森)章太郎&シュガー佐藤ラインによるものと、江川達也によるものの二種類が出版されていますが、石ノ森&シュガーによる『ヤプー』の出版について整理してみたいと思います。

というのは、いろんなタイトルや表紙のものが出ていて、私の中で混乱してしまっているのです。何を買ったらいいのかわからない。この機会に詳しい方のご教示をいただきながら、きちんと整理できればありがたいと思います。

ちなみに、私が持っているのは、都市出版社から出た正編と、辰巳出版から出た第3巻「快楽の超SM文明編」の2冊だけです。

まとめるに当たっては、手元にある上記2冊のほか、ブログ「しろくろ骸骨」、紀伊国屋書店・ジュンク堂書店・八重洲ブックセンター・日本の古本屋の各サイト、辰巳出版のサイト、天野哲夫『犬になった老人の死』(パラダイム)掲載のリストなどを参考にしました。

実は、現物が手元にないと、発行日を確定することすらなかなか難しかったりします。例えば、第3巻「快楽の超SM文明編」の発行は、辰巳出版のサイトでも、紀伊国屋のサイトでも、1993年3月となっていますが、手元にある現物の奥付を見ると、1993年5月になっています。

これはおそらく、出版社や書店のサイトでは、形式的な発行日ではなく、実際に書店の店頭に並んだ時期を掲げているのではないかと思われます。

できるだけ、形式的な発行日に統一したいと思いますが、以下のデータではそのような誤差を含んでいる可能性があります。現物をお持ちの方は、ぜひ正確な発行日だけでもお教えいただけると助かります。

なお、石森章太郎は、1985年に「石ノ森章太郎」と改名しています。したがって、『ヤプー』についても、この年の前後で名前が変わっています。

さて、石ノ森&佐藤版『ヤプー』は、内容の上からは4冊が出ています。

 第1巻「正編/宇宙帝国への招待編」
 第2巻「続編/悪夢の日本史編」
 第3巻「快楽の超SM文明編」
 第4巻「無条件降伏編」

正編のみは、石ノ森(石森)章太郎の作ですが、続編以降は、石ノ森章太郎監修・シュガー佐藤画という形になります。

私が調べた各版をこの順に挙げてみるとこうなります。煩わしいので書名の頭の「劇画」は省略します。

○第1巻「正編/宇宙帝国への招待編」
『家畜人ヤプー』(都市出版社、1971年12月)
『家畜人ヤプー』(辰巳出版、1983年1月)
『家畜人ヤプー 宇宙帝国への招待編』(辰巳出版、1983年6月)
『家畜人ヤプー 宇宙帝国への招待編』(辰巳出版、1990年7月)

○第2巻「続編/悪夢の日本史編」
『続・家畜人ヤプー 悪夢の日本史編』(辰巳出版、1984年1月)
『続・家畜人ヤプー 悪夢の日本史編』(辰巳出版、1990年7月)

○第3巻「快楽の超SM文明編」
『家畜人ヤプー 快楽の超SM文明編』(辰巳出版、1993年5月)

○第4巻「無条件降伏編」
『家畜人ヤプー 無条件降伏編』(辰巳出版、1994年1月)

ここから、年代順に出版状況を想像してみると、こういうことかな・・・と思います。

1、正編の刊行
まず1971年に、石森章太郎による正編が、都市出版社から刊行された。

この都市出版社版の正編、なんとネーム横組で、左綴じです。その後に出た版では、この点がどうなっているのか興味があります。ちなみに、続編以降はすべてネーム縦組の右綴じのようです。

2、続編の刊行
都市出版社が倒産し、1983年1月に辰巳出版から再刊された。さらに同年6月に増刷した際に「宇宙帝国への招待」とサブタイトルがつけられた(※1)。おそらく、続編の出版が決まったことによるものではないでしょうか(※2)。

  ※1 根拠は「しろくろ骸骨」さんの発行日記述と写真。
     紀伊国屋サイトなどでは1983年1月発行のものが引っかからず、
     『犬になった老人の死』でも同年6月のみ掲載されている。
  ※2 私の想像です。

明けて1984年1月に、石森監修、シュガー画による続編が辰巳出版から刊行された(『家畜人ヤプー新聞』はこのときの販促用として作られた。それによれば、実際の店頭販売は1983年11月28日の予定だった)。続編は、書名である「家畜人ヤプー」の前に「続・」という文字が入り、「悪夢の日本史編」とサブタイトルがつけられた。

3、第3巻・第4巻の刊行
1990年7月ごろに正編・続編が発売されているようだ(※3)。おそらくこれは新装版で、後に出る第3巻・第4巻と統一したデザインにしたのではないだろうか?(※4)

  ※3 根拠:紀伊国屋サイトで検索すると、
     1990年7月発行の正編・続編が引っかかる。
  ※4 根拠:第3巻の折込チラシ=画像=には
     統一されたデザインの表紙が印刷されている。

1993年5月には第3巻「快楽の超SM文明編」、1994年1月には第4巻「無条件降伏編」が刊行され、全4巻が揃った。

以上です。

このように、3期に分けることができると思いますが、それがそれぞれ1970年代、80年代、90年代だというのが、ちょっと面白いところです。

『劇画 家畜人ヤプー 第3巻「快楽の超SM文明」編』(1993年)

第3巻「快楽の超SM文明編」に挟んであったチラシ

本文と関係ありません

『続々 裁判官の書斎』(勁草書房、1992年)

「ルビ文学」。
15ページにわたって、ルビの功罪について書かれています。功罪といっても、功の方がメインで、

>「振り仮名による漢字の活性化」とでも言うか、ルビを自在に使って漢語の含蓄と邦語の解釈とを兼ね合わせる手法、それが可能になる(P.106)

などと述べています。

倉田さんは、こうした「ルビ文学」の好例として、竹内実訳による漢詩をあげています。

>
    うぐいす な  きぎのみどり はなのくれない は
 千里 鴬    啼き 緑      紅      に映ゆ

 みずべのむら やまざと いざかやのはた
 水村     山郭   酒旗     はためかす風

 なんちょう しひゃくはっしんじ
 南朝    四百八十寺

 みえかくれす たかどのの うてな きりさめ
 多少     楼     台   煙雨  の中

(竹内実訳「江南の春」〜『続々 裁判官の書斎』P.115)

言うまでもなく『家畜人ヤプー』は、「ルビ文学」を見事なまでに実践してみせた小説です。

『ヤプー』本文を繙いてみればいくらでも例が見つかりますが、いま角川文庫版からぱっと目に付いたところを選んでみます。ルビを[]に入れて示します。

>読心家具(※直前にテレパスとルビあり)は生体家具[リビング・ファニチュア]といわれるものの一種である。生体家具とは、ヤプーの肉体をそのまま材料にして家具にしたものであるが、これを可能にしたのは、畜体循環装置[サーキュレーター]の発明であった。後に説明するように(第六章2参照)、一般のヤプーはすべて体内に天馬吸餌回虫[アスカリス・ペガシス]なる腸虫[ヘルミンス]を寄生させ、その消化力を借りて最下等の汚物から成る畜餌乳液[ヤップ・ミルク]を事故の栄養分に化してしまうのであるが、この場合、定時的な給餌が必要である。(『家畜人ヤプー』角川文庫版、P.30)

片仮名のルビが多いのですが、フォン・コトヴィッツ嬢[さん]、大嘘[でたらめ]、御招待[おまねき]のような平仮名のルビもかなりあります。

これらはまさに「漢語の含蓄と邦語の解釈とを兼ね合わせる手法」そのものであり、『家畜人ヤプー』はその意味で、「ルビによって表現手段が多様化する」という「文学的可能性」(『続々 裁判官の書斎』P.108)を示した作品であるとも言うことができるでしょう。

『続々 裁判官の書斎』にはほかに、古代史学、記紀神話やSFについての筆者の造詣の深さがうかがわれる文章も収録しています。

写真は本文と関係ありません

『続々 裁判官の書斎』(勁草書房、1992年)

「二人称としての先生」(先生に傍点)は、「先生」という呼称について書かれた文章。たった3ページの短いもの。

裁判官時代は、誤解を避ける意味から、他人に対して「先生」を使ったことはほとんどないが、公証人になってからは、はじめは抵抗を感じながらも、やがて使うようになった、と倉田さんは述べています。

>私は、裁判官生活の間、人に対する呼び掛けとしての「先生」は――お医者さんとか、法廷外で元の教官に接するときとかは例外として――ついぞ使ったことがなかった。人から呼ばれるほうは大体「判事さん」である。出版社の人などが「先生」というのはそのままにしたが、修習生がいったときには、陪席並みに「倉田さん」と呼ばせた。(P.174)

法曹関係者同士のあいだで、他者を「先生」と呼んだり、自分を「先生」と呼ばせたりするかどうかについては、職業上の必要もあるでしょうが、そこに倉田さんの繊細なセンスが感じられます。

これを読んで思い浮かべたことがあります。

『手帖』の中に、『毛皮を来たヴィーナス』の翻訳をめぐって麻生保さんと往復書簡風のやりとりをしたくだりがあります。麻生さんが沼さんに敬意を表して「沼正三先生 玉案下」と脇付つきで呼び掛けたところ、それに対して沼さんはこう答えたるのです。

>最後に一つお願い。今後、沼先生はやめて下さい。そんな年輩でなし、資格もなし、それに、もうお分りになったように、私は二人称主語には人一倍敏感なのですからね。(「麻生保氏に答う」〜『手帖6』P.103)

なにか、ここでも二つの人格が見事に付合してしまうように思われます。

なお、麻生保さんは、クラシック界では有名な作曲家だそうです(既に物故しています)。天野哲夫さんがある文章ですっぱ抜いて知ったのですが(天野さんて、そういうことをする人なんですね)、私の知る限り、すっぱ抜きは一ヶ所だけで、多くの人の目にとまるわけではないようですので、ここでその人の名前を割ることはやめておきます。

マレーネ・ディートリッヒ『嘆きの天使』

『続々 裁判官の書斎』(勁草書房、1992年)

「ディートリッヒのABC」。
マレーネ・ディートリッヒの短文を収録した本の紹介です。

>(グレタ・ガルボに比べて)マレーネ・ディートリッヒのほうは、封切りで観たのは「情婦」(略)や「無頼の谷」くらいだが、中学時代教師に隠れてこわごわ観、戦後回顧上映でゆっくり観直した「嘆きの天使」――後ろ向きにした椅子に跨って唱った姿態のあの両脚の露出度のエロチシズム!――と「モロッコ」――ハイヒールを脱ぎ捨てた足の跡が砂漠の砂に点々と残ったあのラストシーンのロマンチシズム!――の印象が極めて鮮烈で、青春の思い出の一つである。だから、この二人のうちでは、ディートリッヒを選ぶ。
 アナベラのような白痴美でなく知情意が備わっている感じが素敵だったから、(以下略)

マレーネ・ディートリッヒといえば映画『嘆きの天使』。『嘆きの天使』といえば、女が性的魅力で男を奴隷にしてしまう物語ですから、これはどうしたって沼正三好みということになります。ディートリッヒは白人ですから、なおのこと沼さん好みですね。

沼さんの『手帖』にも、ディートリッヒが出てきます。例えば、

>(複数の女性がそれぞれ男を馬にしてまたがり、競争をしている写真のキャプション)人間競馬 米映画『無頼の谷』の一場面。中央のハードルを乗り越えようとする馬に跨るのがマルレーネ・ディートリヒ演ずるオルター・キーン。(『手帖1』P.78)

>『嘆きの天使』のマルレーネ・ディートリッヒやマイ・ブリット(略)に、ドミナ性を感じる(以下略)(『手帖2』P.108)

倉田さんが見たと言っている『無頼の谷』や『嘆きの天使』を、沼さんも見ています。しかも、倉田さんは、元裁判官らしくなく、ディートリッヒの足に性的魅力を感じていることを書いています。

倉田さんの「知情意が備わっている感じが素敵」という言葉に、私は『手帖』におけるドミナの類型を思い出しました。

これについては以前に書いたことがあるのですが(「ドミナの三類型」)、いま『手帖』を読み返してみたら、そのときに書いたことは間違っていました。お恥ずかしい。追記として訂正を入れておきました。

ディートリッヒに、知情意の魅力を感じているということは、沼さんのいうミネルヴァ・タイプの女性(雄武や芸文を備えた女性)として見ているのではないかと思ったのです。

ちなみに、私自身はディートリッヒにあまり魅力を感じません。なにかいつも煙草を吸っている印象があるのと(煙草が苦手なもので)、ちょっとギスギスしている感じがします。それに、脚線美といわれるディートリッヒの足は、私には細すぎます。

『無頼の谷』より

ドイツにて

『続々 裁判官の書斎』表紙

『続々 裁判官の書斎』(勁草書房、1992年)

「情報の歴史」。
松岡正剛監修の『情報の歴史』を取り上げています。倉田さんほど古今東西の文献に通じた碩学であれば、「千夜千冊」の松岡正剛さんとは、さぞかし話が合うのではないでしょうか(お二人の対談がいつか実現したら、さぞかし面白いでしょうね)。案の定、倉田さんは松岡さんの手になるユニークな年表である『情報の歴史』を高く評価しています。

松岡さんの「千夜千冊」は、活字にもなっていますが、ウェブ上でも見ることができます。中で、沼正三に触れたくだりがあります。

 20年ほど前のことだろうか、沼正三から「うーん、松岡さんはMですね」と言われた。「えーっ、そうですか」と意外に思ったが、「はい、正真正銘のMです。あなたはそれに気がついていないだけです」とさらに念を押すように言われてしまった。
 日本のマゾヒズム文学を代表する大作『家畜人ヤプー』を書き、みずからマゾヒストを生きている沼正三本人からこう言われたのだから、さあ、これは一大事だった。

 沼さんがマゾヒストであることは本当である。
 実際にも、ぼくがバーに連れていったある女優を前にして、沼さんは時をみてさっと跪き、そのハイヒールの甲に接吻したもので、それを目撃したぼくとしては、沼正三がたんなる想像力だけでマゾヒズムの世界をあれこれ書いているのではないことはとっくにわかっていた。
 のみならず、のちにその女優から聞いたところでは、沼さんは彼女のマンションに行って服従をし、小水すら飲んでみせたというのである。


千夜千冊「ザッヘル=マゾッホ『毛皮を着たヴィーナス』」より

一読して明らかなように、松岡さんが沼正三と呼んでいるのは、天野哲夫さんのことです。理由を述べる必要があるでしょうか?(笑)

要するに、上記のようなことは、思慮深く、人前に出ようとしない『手帖』の沼正三は絶対にやらないのに対して、天野さんならいかにもやりそうなこと、というより、まさに天野さんの行動そのものである、ということです。

以前に私は、天野さんの文体に関して、こう書きました(「天野哲夫と沼正三」)。

>天野さんの文体は、根本的に「告白」を志向しています。「私はこんなに変態なんですよ。すごいでしょう。気持ち悪いでしょう。さあ皆さん、驚いてください」というのが、天野さんの文章に一貫して流れている通奏低音であり、天野さんの文体はこの通奏低音上に鳴り響いています。

松岡さんの書いた沼正三が、こうした文章の書き手と全く同じ人格を持っていることは明らかです。

さて、『情報の歴史』について紹介した倉田さんは、このこと・・・すなわち、松岡さんが天野さんと接触をもっていること・・・をご存知なのでしょうか。

おそらく、何もかもお見通しのような気がします。

   ◇ ◇ ◇

目次

   I
<目耕余録>
唐宋伝奇集
日本語の作文技術
情報の歴史
ブリューゲル・さかさまの世界
ささなみのおきな
ディートリッヒのABC
「甘え」と社会科学
軽い機敏な仔猫何匹いるか
基礎日本語辞典
冠詞(全三巻)
物理の散歩道(全五冊)
随筆集 ピモダン館
とらんぷ譚 真珠母の匣
登記と法と社会生活 「法律風土」日米較差の根源 上巻
書物の森を散歩する
  銀河にひそむモンスター(福江純)
  大いなる天上の河(グレゴリイ・ベンフォード)
  光の潮流(同)
  SF全短篇(藤子不二雄)
  南方マンダラ(南方熊楠)
  酉陽雑俎(段成式)
  聊斎志異(蒲松齢)
ルビ文学
  一、ルビの功罪
  二、ルビの再評価
  三、柴田天馬訳『聊斎志異』
  四、竹内実訳『中華愛誦詩選』

   II
交通遺児育英会二〇周年に想う
地裁に医事訴訟専門部を
裁判官という職業 ―若い女性からの合格通知を祝って―
言葉直しと法廷口頭弁論の活性化
民事裁判実務の昨今
裁判官の公と私

   III
二人称としての先生
法曹四者の夢
Notary Public から Notary へ
Living Will(生前発効遺言)

   IV
両佐吉先生の思い出
落第
十年前の明士会パーティ
能遂其終
弁護士・山田○之助

   V
『乱帙録』あとがき
『法服を脱いでから』序文
『ことわざから科学へ』あとがき

   VI
ことばの歳時記「法律と裁判のことば」(聞き手:角田明夫)
対談・古代史学と証明責任(古田武彦・倉田卓次)

あとがき
セクシーなハ○レルヤシスターズ

かわいいですね〜。
一目惚れしました、
ハレル○シスターズ。

マヤさん、ミユキさん、マツコさん。

3人合わせて250キロ

3人合わせて250kgだそうです。
比率は、2.5:3.5:4とのこと。
すなわち、62.5と87.5と100。
お〜。

大阪弁のおしゃべりも、ほんのり色っぽくてかわいい。

♪恋の奴隷になって
 今夜は Dance with me

なりますとも、
恋の奴隷にだって、
ただの奴隷にだって。

マネージャー兼奴隷にしてくれないかなあ。
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